
歯を失う原因の第一位は歯周病です。
歯垢(プラーク)は細菌の塊であり、その中の歯周病原菌により歯ぐきに炎症を起こし、次第にあごの骨を溶かしていってしまう病気です。
日本人の成人の80%が歯周病にかかっているとされ、ほとんどの場合痛みなく進行し、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。
だからこそ早期発見、早期治療が大切になります。
歯周病の原因は3つです
歯周病菌は口腔内の常在菌です。歯周病の原因は歯周病菌の感染だとよく言われますが、そうではありません。
歯磨きが行き届いてないと、口腔内環境が悪化し病原性の強い菌が増殖していきます。
環境の悪い川に雑菌が繁殖するのと似ています。
歯を一生懸命磨いているにもかかわらず重度の歯周病になる人がいる一方で、あまり歯を磨かないのに歯周病にならない人もいます。
そのほかの原因は、かみ合わせ・ストレスです。
かみ合わせが悪いと、咀嚼・歯ぎしりなどの時に不適切な力がかかり動揺し始めます。
そして、歯と歯を支える骨の間が広がり細菌が侵入しやすくなります。
さらにストレスがあると血管が収縮し、免疫力が低下し歯周病菌に抵抗しずらくなります。
歯周病は、歯磨きと歯石除去だけでは治りません。
ストレスを無くし、歯に負担をかけない噛み合わせにし負のスパイラルを断ち切る必要があります。
歯周病治療はメンテナンスが大切です。
治療が終わった後に継続して、良い状態を維持することをいいます。そのためには、歯科医師のチェックと歯科衛生士による専門的なお口の清掃(クリーニング)を定期的に行います。
最低でも半年に1回は定期的にチェックを受けましょう。進行した歯周病の治療が終わった方は、1~3ヶ月のサイクルで来院し安定した歯茎の状態を管理していくことが大切です。
全身疾患との関係
歯周病の炎症によって作られる物質や細菌が歯ぐきの細い血管から入り込み、血管の流れに乗って身体にまわることで様々な病気に関係することが明らかになってきています。
- 糖尿病
- 高血糖により歯周病にかかりやすくなること、歯周病の原因となる細菌が増殖しすくなることがわかっています。また、歯周病が糖尿病発症に関与していると考えられています。歯周病は糖尿病の合併症のひとつで、お互いに影響しています。
- 血管系疾患
- 手術で切り取った動脈瘤から、お口の中にいる細菌のDNAが見つかっています。また、歯周病と狭心症・心筋梗塞や脳梗塞が関係していると言われています。
- 早産・低体重児出産
- 歯周病が早産・低体重児出産のリスクを高める可能性があります。妊娠性エプーリスなど妊婦特有な病気もあります。
- 細菌性肺炎
- 口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症予防に効果的であることが知られています。歯周病の治療は細菌の数を減らし、細菌性肺炎の発症予防につながります。
- 細菌性心内膜炎
- お口の中の細菌が細菌性心内膜炎の原因となることは知られています。染性心内膜炎のガイドラインでも予防目的に歯周病やお口の病気に対する治療が推奨されています。
- 肝疾患
- 非アルコール性脂肪肝に歯周病が関連している可能性があります。
- その他
- 慢性腎疾患や関節リウマチなども関連があると言われています。